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Virtual Art Book Fair

Rafaël Rozendaal Exhibition

Bryophytes and Lichens of Letterewe

Oliver Moore

Informative non-fiction

レターウーは、実業家ポール・フェンテナー・ファン・フリシンゲンが 1977 年に購入したスコットランドにある 4 万ヘクタールの土地だ。その貴重な植生や生息動物、特に鹿にまつわる研究がその後長期的に行われており、本書はその詳細をまとめた 3 冊目となる記録集で、イギリス諸島で最も湿度の高いこの土地の苔や地衣類についてまとめたものだ。イルマ・ボームとファン・フリシンゲン家との長い関係性(1996 年に出版された彼女の伝説的な『SHV Think Book 1996–1896』が最もよく知られている)を考えれば、ここでのデザイナー選択は当然だと言えるだろう。ボームは、持てる限りの"本らしい本”を作る技術を注ぎ込んでこの本のテーマに向き合った。本の片側だけページのエッジを荒く削ったような加工がされており、図版画像がページからはみ出すように印刷されることで断片に緑色のストライプが浮かび上がり、そのベルベットのような感触は苔を強く連想させ、厚みのある本でありながらも軽量であることが、その感覚を一層強くしている。余白を残さない実直なタイポグラフィのマージンが、波打ち、雲のような苔庭やスコットランドの風景を模している。テキストページにおいて、図版ページで紹介されている場所や植物を緑で印字し該当ページも記載することで、タイポブラフィを華やかにするだけでなく読みやすさにも寄与しており、読者は図版とそれに対応する文章を苦労なく行き来することができる。しかし、最も目を引く処理は図版そのものに施されている。羊毛のような苔の質感と荒々しいスコットランドの環境に合わせるため、当初はリソグラフで図版を印刷する計画を立てていた。しかし印刷用紙に対して有効な方法でないことがわかると、極端に荒いシルクスクリーンの手法を用いて、同じような効果を生み出すことに成功した。それによって本書は明確なビジュアル言語と統一感を獲得し、苔が発するわずかな輝きのようなものが図版からも発せられている。エレガントで薄いボード紙を用いたことやミニマルな判型はファン・ワールデンによる特徴的な製本手法であり、この本もブロック的な質感を持っている。カバーと裏表紙にはタイポグラフィがない。匂い以外、すべてにおいて完璧な苔だ。それは本書にとって褒め言葉であるはずだ!


出版社: Letterewe Estate, Achnasheen (SCH)
デザイン: Irma Boom Office (Irma Boom, Eva van Bemmelen), Amsterdam

カテゴリー: 情報系ノンフィクション
編集:Oliver Moore
言語:英語
写真:Oliver Moore
イメージ編集:Oliver Moore
リトグラフ:Zwaan Lenoir, Wormerveer
印刷:Zwaan Lenoir, Wormerveer
製本:Boekbinderij Van Waarden, Zaandam
フォント:Plantin Pro (Monotype), Times (Linotype), Arial (Monotype)
サイズ(ミリ):170 x 220 x 32
ページ数:344
発行部数:300
価格:£ 50 (Britse pond)
ISBN:978 90 824953 1 7
本文用紙:100gsm EOS 2.0 (Igepa)
見返し:185gsm Sirio Black/Black (Fedrigoni)
装丁:120gsm Wibalin® Natural 500 White (Winter & Company) over 1.5 mm greyboard
製本方法:糸かがりソフトカバーフラップ付き、薄い厚紙に最小限のチリ
特記事項:画像は 65lpi の粗いスクリーンで印刷。のどに沿った活字は苔の気まぐれな形を表す有機的な要素を参考にしている。小口は特殊な方法で断截され苔のような柔らかさを感じさせる。装丁は計 2 種類。