ニューヨークの伝説的アーティスト、ジャン＝ミシェル・バスキアを扱う本書の強みは、その奇妙な制約に表れている。「法的理由」により、作家による作品が 1 点も収められていないのだ。その代わり、若きアーティストが出入りしていた当時のアートシーンに焦点を当てている。厚く硬いマット紙に印刷された多くの記録写真の中に、私たちは彼がグラフィティを作り出していった世界を見ることができる。荒れたブルックリンの街角やタイムズスクエアの一角は、当時まだ売買春やドラッグ取引が多くなされていた場所でもあった。そのような粗暴な外の世界と対照的なのが、友人たちと共に過ごす部屋の中の世界だ。そこに写されるのは、ガールフレンド、彼自身とその部屋、彼が何かを作っていたり、展示に向かう準備をしていたり、仕事をしていたり、ふざけたり、演じたり、TV のゲストとして招かれたときの様子だ。当時のニューヨークの荒廃と、バスキアが行き来したアーティスト仲間の輪やパフォーマー、ギャラリーオーナーらとのゆるやかなつながりがミックスされ、その率直さと熱気はまるで映画のようだ。小さなサイズのページには引用文が記されている。最も心を打つのはテキストと画像、色使い、そして異なるタイプの紙やタイポグラフィを用いることで生み出されるジャジーなリズムであり、「アートとは生きることであり、生きることはアートだった」輝ける時代と場所を駆け抜けた若きアーティストと 1 日を共にしているような感覚を与えてくれる。本書は確かな強度と繊細さを持ち合わせおり、粗雑でありながらもしっかりと抑制もされている。そして何よりも、強い説得力を持っている。

出版社： SCHUNCK, Heerlen
デザイン： Raw Color (Daniera ter Haar, Christoph Brach, Tijs Van Nieuwenhuysen), Eindhoven

カテゴリー： アート、写真、建築
アーティスト：Jean-Michel Basquiat
編集：John Bezold, Minnou Mennens, Patricia van den Ende, Jeanine Ruijters
言語：オランダ語、英語
翻訳：D’Laine Camp, John Bezold
イメージ編集：Cynthia Jordens, Fabian de Kloe
編集：Cynthia Jordens, Fabian de Kloe
印刷：Tuijtel, Hardinxveld-Giessendam
製本：Folding and sewing by Tuijtel, Hardinxveld-Giessendam. Trimming and binding by Boekbinderij Abbringh, Groningen
フォント：Wilma (Type-Ø-Tones), Kievit (Fontshop)
サイズ（ミリ）：200 x 280 x 11
ページ数：172
発行部数：1,000
価格：€ 30
ISBN：978 90 74106 48 1
本文用紙：150gsm Magno Volume (Igepa), 135gsm Magno Gloss (Igepa), 120gsm EOS 2.0 (Igepa), 90gsm Magno Natural (Sappi Europe)
見返し：140gsm Magno Natural (Sappi Europe)
カバー：120gsm Wibalin® Natural 500 White (Winter & Company) over 2.5 mm greyboard
製本方法：糸かがり角背ハードカバー、切り付け表紙
特記事項：中身に通常ページより短いページ３枚。中身は CMYKPantone485、545、5035、7729 で印刷。カバーは Hofmans Drukkerij（オランダ）による黒の印刷と赤のスクリーン印刷。