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Virtual Art Book Fair

Rafaël Rozendaal Exhibition

The Plant Collection

Caroline Roodenburg, Maria Barnas

Art, photo and architecture books

「こっちを見ないで、私は関係ない!」1980 年代イギリスの TV コメディ『The Young Ones』のエピソードで、突然カメラがマッチ箱にズームし、その無関係さを箱に印字されたフレーズが表明する。『The Plant Collection』に収められるのは、ウィレム・サンドバーグとエディ・ド・ワイルドが館長を務めていた時代のアムステルダム市立美術館、真っ白な展示空間にたたずむ植物を撮影した古いモノクロの展示写真で、それらも前述のマッチ箱と似た不条理さを持っている。モンドリアンの『Victory Boogie Woogie』の横にホウライショウが置かれているなど、写真にデッドパンのユーモアがあるのは確かだ。インゲ・メイエルが写真アーカイブから選び出したこれらの写真は、当時の美術館の光景を見せてくれる。そこではアートではなく、どんなに控えめかつ些細な存在に見えたとしても、植物が舞台の中央にいたのだ。衛生的にも気温調整の点からも現在の美術館では考えられないことで、それらの植物の静かな存在感は私たちを驚かせる。同時に、それらが美術館の空間の中で完全に気配を消している様子にも驚かされる。無菌化された美術館に自然の様子を持ち込むという点では、現代の気象変動に対するアクションから生まれたプロジェクトとも見て取れるかもしれない。文化政策的、そして社会的・理想的な熟慮の末にサンドバーグが植物を空間に取り入れたことを、メイエルのプロジェクトは明確に示している。これらモノクロの記録写真が、21 世期的なポストモダンの不条理な空気感を纏っているのは驚くべきことだろう。写真に添えられたキャプションやテキストなど、そのプレゼンテーションは率直で、展覧会カタログのフォーマットに沿ってすべてがなされている。市立美術館が植物を、それらをケアする特別な技術を要するスタッフが必要なコレクション作品としてみなしていることを考えると、それは理にかなっている。ある委員が指摘したように、スイス装によるリネンの背表紙はサンドバーグの視覚言語を連想させ、両面にある折り返しが本書にアーカイブ的な存在感を与えている。選択、プレゼンテーション、そして焦点を集中させることでアーカイブ写真をアート作品へと変容させ、デザインの実践も模範的で、統一感を持っている。ここには、時代を超えて選考委員会を魅了した、かつて存在したひとつの完成した世界がある。


出版社: Roma Publications, Amsterdam
デザイン: Roger Willems, Amsterdam; Dongyoung Lee, Amsterdam

カテゴリー: アート、写真、建築
アーティスト:Inge Meijer
編集:Geurt Imanse
言語:英語、オランダ語
翻訳:Jane Bemont
イメージ編集:Inge Meijer
印刷:Wilco Art Books, Amersfoort
製本:Wilco Art Books, Amersfoort
フォント:Caslon (Adobe)
サイズ(ミリ):210 x 297 x 14
ページ数:112
発行部数:800
価格:€ 28
ISBN:978 94 92811 53 0
本文用紙:150gsm Munken Print White 15 (Arctic Paper)
カバー:300gsm Munken Print White 15 (Arctic Paper)
製本方法:スイス装、背にリネン(テキスタイル:Halflinnen Dark - Van Heek Textiles 社)糊付け。
特記事項:裏表紙のフラップは折り返って本体を包む仕様。